こんにちは!今日は学校が創立記念日で早く終わったので、昨日の続きを書きたいと思います。
成田国際空港での交信内容(Youtube)
↑こちらを聞きながら見てください。
今日はタワーの内容です。3:40辺りから再生してください。
この日のタワーの管制官は女性が担当していましたね。航空業界って男尊女卑の体制が早い時期に崩れた、女性にとってはうってつけ(?)の職場なんですよね。
聞いていて飽きないほど可愛い声の持ち主もいるんですよね~。
↑ハーレムを期待して航空管制官になりたいわけじゃないんだw
「…310 at 3,runway 34L cleared for take-off.
(風は北西から毎秒約2メートル。滑走路34Lからの離陸支障なし。)」
「Cleared for take-off 34L,Airchina 952.
(中国国際航空952便、滑走路34Lより離陸する。)」
「Srilankan 455,runway 34L line-up and wait.
(スリランカ航空455便、滑走路34Lに進入して待機せよ。)」
「Runway 34L line-up and wait.Srilankan 455.
(スリランカ航空455便、滑走路に進入して待機する。)」
大連経由北京行きの中国国際航空952便と、スリランカのコロンボ行きのスリランカ航空455便が離陸しようとしています。基本的に滑走路1本には、同時に1機(ラッシュアワーや福岡・那覇など滑走路が1本しかない空港は例外)しか入れません。航空機同士の間隔をあけないと、速度や進路の違いで衝突したり、エンジンの後方にできる乱気流に巻き込まれる危険性があります。順番に離着陸させます。
この場合、先行して離陸する中国国際航空952便の後ろをスリランカ航空455便が続きます。スリランカ航空455便が離陸するために滑走路内に入った頃、中国国際航空952便は離陸後上昇を続け、管制塔の管轄域を離れます。
「Airchina 952,contact Departure.
(中国国際航空952便、出発管制と交信せよ。)」
「Contact Departure,Airchina 952,good-bye.
(出発管制と交信する、さようなら。)」
「Good-bye!
(行ってらっしゃい!)」
パイロットや管制官によりますが、気さくに「さようなら」と言って来たら、答えてあげるのが礼儀です。
中国国際航空952便が離陸後、間隔があいたので、スリランカ航空455便に離陸許可を出します。
「Srilankan 455,wind 300 at 3,runway 34L cleared for take-off.
(スリランカ航空455便、滑走路34Lからの離陸支障なし。北西から毎秒約2メートルの風がある。)」
「Runway 34L cleared for take-off.Srilankan 455.
(滑走路34Lから離陸する。)」
この指示によって航空機は初めて離陸します。管制塔はそういう意味では特等席ですよ。
ここでシーンが切り替わり、少し時間が経って管制官も交代しています。
「Skymark 835,contact Tokyo Departure.
(スカイマーク835便、東京出発管制と交信せよ。)」
「Skymark 835,Contact Departure.Good-day.
(出発管制と交信する、さようなら。)」
「Good-day.
(さようなら。)」
離陸機はこの指示で管制塔の管轄から外れます。
ちなみにスカイマークは日本の会社で、LCCにも大手にも属さないタイプで、僕の好きな航空会社です。将来日本を牛耳ることを切に願います。
それとスカイマーク835便は、データがない…
↑現在は廃止されています。
「Sorry,Eva 2197,Tokyo Departure frequency,please?
(こちらエバー航空2197便、東京出発管制の周波数は?)」
「124.2.
(124.2メガヘルツです。)」
「1242,thank you.
(124.2、了解、ありがとう。)」
不慣れなパイロットは周波数などの不明点を管制官に尋ねます。それに答えてあげるのも仕事です。
エバー航空は台湾に拠点を置く航空会社で、日本各地と台北を結んでいます。このエアバスA330-200には、ハローキティの柄が入った航空機があるのも特徴です。
↑台湾に研修旅行に行ったときに乗りました。やはりハローキティジェットでした。
スカイマーク835便が離陸して、間隔があいたので、台北行きエバー航空2197便に離陸許可を出そうとしたところ…
「Narita tower,Allnippon 206,runway 34L 11 miles.
(成田タワー、こちら全日空206便、滑走路34Lまで11マイル地点を飛行中。)」
パリ発の全日空206便が滑走路に向けて進入中であると言ってきました。
「Stand-by,break break,Eva 2197,wind 300 at 5,runway 34L cleared for take-off.
(待機せよ、引き続き交信する、エバー航空2197便、滑走路34Lからの離陸支障なし、北西から毎秒約3メートルの風がある。)」
「Cleared for take-off runway 34L,Eva 2197.
(エバー航空2197便、滑走路34Lより離陸する。)」
「Allnippon 206,Narita tower,runway 34L continue approach,wind 300 at 4.We have departure.
(全日空206便、こちら成田タワー、滑走路34Lへ進入を継続せよ。風は北西から毎秒2メートル。これから離陸する出発機がいる。)」
「Continue approach 34L,Allnippon 206.
(全日空206便、滑走路34Lへ進入継続する。)」
離陸機が多くなってきました。本来34LのあるA滑走路は離陸用ですが、ラッシュアワーになるともう1本のB滑走路ではやり切れないので、A滑走路にも回ってきます。その場合、タイミングを見て出発機を待たせることになり、滑走路脇に航空機の渋滞ができます。
ここでいう「進入継続」は、あくまで現状の進入経路をそのまま飛行するよう指示しただけで、滑走路上で問題が起これば「ゴーアラウンド」を指示して着陸をやり直させます。離陸機がいるだけならば、離陸機がいなくなり次第、着陸許可を出します。それで初めて着陸できるのです。
「Allnippon 959,runway 34L line-up and wait.Left inbound approaching 8 miles on final.
(全日空959便、滑走路34Lに進入して待機せよ。左側、到着機が滑走路まで8マイル地点にいる。)」
「34L lining-up,Allnippon 959.
(滑走路34Lに進入する。)」
「Airbusan 111,Narita towar,hold short of runway 34L,traffic on final.
(エアプサン111便、こちら成田タワー、滑走路34L入り口にて待機せよ。到着機が最終進入経路上にいる。)」
「Hold short of runway 34L,Airbusan 111.
(エアプサン111便、滑走路34L入り口で待機する。)」
エバー航空2197便(台北行きの出発機)→全日空959便(上海行きの出発機)→全日空206便(パリからの到着機)→エアプサン111便(釜山行きの出発機)
この順番で滑走路を使用するようです。
エアプサンは韓国の釜山を本拠地とするLCCです。成田や関空に就航しています。
再びシーンが切り替わり、エンジン音が聞こえてきました。先ほどまで屋内にいたようですが、屋外の展望台に出てきたのでしょう。
「Airbusan 111,contact Tokyo Departure.
(エアプサン111便、東京出発管制と交信せよ。)」
「Contact Departure,Airbusan 111,good-day.
(エアプサン111便、出発管制と交信する。さようなら。)」
「Good-day.
(さようなら。)」
巨体を滑走路に向けて曲げているのはソウル仁川(インチョン)行きの大韓航空704便、ボーイング777-300です。大韓航空は韓国で最大の航空会社で、日本各地とソウル・釜山・済州島を結んでいます。ソウルから成田を経由してホノルルに向かう路線(昔はソウル発成田経由ロサンゼルス行きだった)や、ソウルから関空を経由してグアムに向かう路線など、成田や関空は中継基地としてもその力を発揮しています。
「Koreanair 704,wind 320 at 2,runway 34L cleared for take-off.
(大韓航空704便、風は北西から毎秒1メートル、滑走路34Lより離陸支障なし。)」
「Runway 34L cleared for take-off,Koreanair 704.
(大韓航空704便、滑走路34Lより離陸する。)」
重たいボーイング777-300が離陸滑走をはじめたそのとき、事件は起きた…
「Skymark 877,Narita tower,runway 34L
Cleared for take-off.
(スカイマーク877便、こちら成田タワー、
滑走路34Lより離陸支障なし。)」
前方に大韓航空704便がいて離陸の体勢に入っているにもかかわらず、言い間違えたのか、札幌行きのスカイマーク877便(現在は存在しない)に離陸許可を出してしまいました。
「Skymark 877,again,cleared for take-off?
(こちらスカイマーク877便、確認するが離陸してよいのか?)」
パイロットが気付いて返答します。管制官もミスに気付いたようで、すぐに訂正します。
「Skymark 877,correction,runway 34L line-up and wait.
(スカイマーク877便、訂正する、滑走路34Lに進入して待機せよ。)」
「Skymark 877,runway 34L line-up and wait.
(スカイマーク877便、滑走路に進入して待機する。)」
双方が気付かなければ危険な状態になっていました。
人間って言うのはミスをする生き物ですし、今回のミスは義務化された仕事という意味ではよくあることなのではないでしょうか。それでも何百人という乗客の命を預かる立場としては、管制官もパイロットも気をつけたいものです。
相手が日本の航空会社でよかったですが、どの道今のを聞いていた航空機の信頼を失ったと思います。スカイマークのパイロットも、「適当なことを言うなー!」と、怒っていらっしゃいますだろうし。
「Koreanair 704,contact Tokyo Departure.
(大韓航空704便、東京出発管制と交信せよ。)」
「Contact Departure,Koreanair 704,good-day.
(出発管制と交信する、さようなら。)」
「Good-day.
(さようなら。)」
タイミング的にスカイマーク877便はそのまま離陸しても問題はなさそうですが、大韓航空704便が何かトラブルを起こしたりしたら…それを考えると、やっぱり離陸は順番どおりにさせるのがベストなようです。
「Skymark 877,wind 310 at 3,runway 34L cleared for take-off.
(スカイマーク877便、北西から毎秒約2メートルの風あり。滑走路34Lより離陸支障なし。)」
今度は正真正銘の離陸許可が出ました。
「Skymark 877,runway 34L cleared for take-off.
(スカイマーク877便、滑走路34Lより離陸する。)」
復唱がゆっくりな点から、スカイマーク877便のパイロットがよほど神経質になってしまったことが窺えますね。
「Koreanair 716,Narita tower,runway 34L line-up and wait.
(大韓航空716便、こちら成田タワー、滑走路34Lに進入して待機せよ。)」
「Line-up and wait 34L,Koreanair 716.
(滑走路に進入して待機する。)」
その後ろには釜山行きの大韓航空716便が続いています。ラッシュアワーにミスするとは大変ですね。
シーンが切り替わり、スカイマーク877便が出発管制に引き継がれた後になります。
「…Runway 34L cleared for take-off.
(滑走路34Lより離陸支障なし。)」
「Runway 34L cleared for take-off,Koreanair 716.
(大韓航空716便、滑走路34Lより離陸する。)」
「Alitalia 785,Narita tower,runway 34L line-up and wait.
(アリタリア航空785便、こちら成田タワー、滑走路34Lに進入して待機せよ。)」
「Line-up and wait 34L,Alitalia 785.Konnichiwa!
(滑走路内で待機する。こんにちは!)」
「こんにちは。」
何やら陽気なパイロットの乗った航空機が近づいています。ローマ行きのアリタリア航空785便です。アリタリア航空はイタリアの航空会社で、イタリアの国旗をモチーフにした緑・赤・白の塗装が特徴です。
気前のいい外国人パイロットが、たまに日本語で交信することもあります。「サヨウナラ!」とか「コンニチハ!」と言われると、聞いているだけで嬉しくなりますね~
「Tower,Aircanada 009,...(聞き取れず) 34L.
(タワー、こちらエアカナダ009便、…34L。)」
「6545,Aircanada 009,Narita tower.
(エアカナダ009便、こちら成田タワー、…は6545です。)」
エアカナダはカナダ最大の航空会社で、009便はバンクーバー発です。
肝心のところが聞き取れずに申し訳ありません(泣)
何についてやり取りしていたのでしょうか…
「Aircanada 009,Narita tower,runway 34L continue approach,we have departure,wind 330 at 3.
(エアカナダ009便、こちら成田タワー。滑走路34Lへ進入を継続せよ。これから離陸する出発機がいる。風は北北西から毎秒約2メートル。)」
このときになって初めてアリタリア航空785便が姿を現しますが、滑走路の端までまだ少し距離があります。
「Roger,continue approach,Aircanada 009.
(了解、滑走路34Lへ進入継続する。)」
「Alitalia 785,...(聞き取れず) are you ready now?
(アリタリア航空785便、離陸準備できているか?)」
「We're ready,Alitalia 785.
(こちらアリタリア航空785便、離陸準備完了している。)」
「Alitalia 785,roger,left inbound 8 miles on final,...(ここで終了)
(アリタリア航空785便、了解、左側、到着機が滑走路まで8マイルを飛行中…)」
中途半端なところにいるアリタリア航空785便に対し、離陸準備、すなわち客室への通達や各種セッティングができているかどうか確認させ、準備できているとのことなので、このまま先に離陸させるでしょう。
シーンが切り替わり、先ほど到着してきたエアカナダ009便が、数時間後にエアカナダ010便としてバンクーバーに出発します。
「Aircanada 010,wind 020 at 3,runway 34L cleared for take-off.
(エアカナダ010便、北北東から毎秒約2メートルの風がある。滑走路34Lより離陸支障なし。)」
「Cleared for take-off 34L,Aircanada 010.
(エアカナダ010便、滑走路34Lより離陸する。)」
こんな面白い構図(?)もありました。管制官もパイロットも女性です。元々欧米では女性のパイロットは大分前から採用されていましたが、男尊女卑がひときわ強く、なおかつパイロットは男という固定観念も知らぬ間にできていた日本では、あまり女性パイロットが馴染んでいないのが現状です。
↑去年やってた堀北真希主演「ミス・パイロット」を見れば分かります。
「Amelican 170,Narita tower,runway 34L line-up and wait.
(アメリカン航空170便、こちら成田タワー、滑走路34Lに進入して待機せよ。)」
「...Excuse me,Amelican 170,34L line-up and wait?
(こちらアメリカン航空170便、滑走路内待機でよろしいか?)」
「Affirm,Amelican 170,runway 34L line-up and wait.
(その通りです。アメリカン航空170便、滑走路34Lに進入して待機せよ。)」
「Roger,lining up 34L.
(了解、滑走路内で待機する。)」
ロサンゼルス行きのアメリカン航空170便とのやり取りで、さっきと似たようなことがありました。
今回は単純に聞き取れなかっただけなのでしょう。
まあ、アメリカ人にとってアジア訛りの英語は聞き取りにくいし、笑いの種なのだろう。
交信しながら笑いを抑えきれないのがわかる…
最後のシーンは大型機の着陸です。欧米から来た航空機は、燃料が多かったり、乗客や荷物が重くて、短いB滑走路では危険だったり、単にB滑走路周辺が混雑しているのでA滑走路に回されることがあります。
ちなみにそのシーンで、登場するデルタ航空のボーイング747型機は、離陸機の待っている位置よりも大分奥に着地しています。
これは、この動画が撮影されたときの成田空港の土地の問題にあります。
元々何もなかった大平原に、ドカンと国際空港を作ると政府が言い出しました。地元住民は大反対しましたが、結局空港は開港。
しかし土地の買収に応じない地元住民が、着陸機のための誘導施設を建てる予定の場所から退去しないため、誘導施設を空港の敷地内に強引に収めるほかなく、その結果滑走路の南端にかかってしまったため、事実上、4キロある滑走路のうち、3.5キロほどしか着陸時に使えませんでした。離陸時は4キロフルで使えるので、端から離陸します。
現在ではその土地は買収され、着陸機も4キロフルで使えます。
この動画が撮影された航空科学博物館は、A滑走路の南にあります。着陸に使える長さが長くなったことで、より低高度でこの博物館付近上空を通過することになります。空港周辺に北風が吹いているときは、絶好の飛行機ウォッチングスポットになるので、おススメです。
以上でこの動画に関する解説は終わります。(←長かったな~)
少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
次回は航空機の立場になって航空管制を解説していきたいと思います。
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