まず、注意。ネタバレを含むところは反転させないと読めないようにしておきました。ネタバレが嫌いな方は間違って反転しないようにお気を付け下さい。
似鳥鶏については、こちらでも語っております。
では、最初に、似鳥鶏さんの作品の全体的な特徴からです。
①読みやすい
②キャラが面白い
③注釈が面白い
④あとがきが面白い
といったところです。
それぞれ詳しく説明します。
①……この読みやすさはスゴイです。いくら読んでも飽きないですし、読む手が止まらないんですよ。だから、あまり読書になれていない方にもオススメなんです。
②……「にわか高校生探偵団の事件簿」シリーズの主人公(葉山君)の性格がどこか僕に似ているようで愛着が持てるのは置いておいても、探偵役の伊神さん、ヒロイン(?)の柳瀬さんのキャラが本当に面白い。伊神さんは謎解き以外意に介さないというような感じでありながら、面白いセリフもあり、柳瀬さんはボケたりツッコミを入れたりと面白い。「動物園ミステリ」や他の作品も、ユニークな登場人物ばかりです。
③……割と雑学的な話や、面白い解説がついています。こいつにはホントに笑わされます。
④……この人のあとがきは比類なき面白さです。まさにSecond to none! これがほんとに毎回楽しみです。
次は一作品ごと解説を……
長くなるので、今回は前後編にいたします。
「理由(わけ)あって冬に出る」(長編)
記念すべき似鳥さんのデビュー作にして、「にわかシリーズ」の一作目でもあります。
この作品は第十六回鮎川哲也賞傑作に選ばれた作品です。
この作品の面白さは、そのトリックとキャラクターにあります。
最初の何ページかは少し退屈してしまうのですが、事件の発端となる、葉山君が幽霊話を聴かされるあたりから、加速度的に引き込まれます。
<あらすじ>
芸術棟に、フルートを吹く幽霊が出るらしい―吹奏楽部は来る送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた!にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは?コミカル学園ミステリ。第16回鮎川哲也賞佳作入選、期待の新鋭のデビュー作。 (「BOOK」データベースより)
と、いうわけで以下ネタバレを含むので反転注意です。
一つ目のトリックは、なんとなく薄々と気付いたんです。影遊びと言うのは多少なりともやりましたので。二つ目は、気づかなかった……ちょうどこの作品を読んでいたころ、光の実験で、先生がチョークの粉を舞わせて、そこに光の筋が映るというのをやっていたので、余計に驚いて、納得させられて、感動させられました。それから、ミノがいいやつ過ぎる。それも僕の心に響き、この作品は僕の中で大切な、大切な作品となりました。
たまに、あとがきやブログ、ツイッターで作品のイメージを綺麗に壊してくれる作家もいますが、似鳥さんは絶対に裏切らないですね。
なので、僕の中で、似鳥鶏という作家は愛すべき作家となった訳です。
「さよならの次にくる<卒業式編><新学期編>」(連作短編集)
全作に続く、「にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ」
葉山君が本当に僕に似ている気が……。
キャラクターが前作より固まった感じで、とてもいい。
<あらすじ>
<卒業式編>
「東雅彦は嘘つきで女たらしです」愛心学園吹奏学部の部室に貼られた怪文書。部員たちが中傷の犯人は誰だと騒ぐ中、オーボエ首席奏者の渡会千尋が「私がやりました」と名乗り出た。初恋の人の無実を証明すべく、葉山君が懸命に犯人捜しに取り組む「中村コンプレックス」など、「卒業式編」は四編を収録。デビュー作『理由あって冬に出る』に続くコミカルな学園ミステリ、前編。 (「BOOK」データベースより)
<新学期編>
名探偵の伊神さんは卒業、葉山君は進級、そして迎えた新学期。曲がり角が衝突したことがきっかけで、可愛い一年女子の佐藤さんと知り合った。入学以来、怪しい男に後をつけられているという佐藤さんのために、葉山君はストーカー撃退に奔走することになる。苦労性の高校生・葉山君の、山あり谷ありの学園探偵ライフ。爽快なフィナーレまで一気呵成に突き進む学園ミステリ、後編。 (「BOOK」データベースより)
と、いう訳で、以下ネタバレを含む感想。
この作品での驚きは、伊坂幸太郎を彷彿とさせるような、伏線回収にあります。全てが連鎖して、すべてが終息に向かっていく。とてもいいです。
<卒業式編>は少々柳瀬さんの存在感がありませんが、<新学期編>では大活躍。新ヒロイン、佐藤さん(翠ちゃん)も登場して、いい感じです。
そして、葉山君が成長している。人として男として……。それから、ミノが本当にいいやつだ。こんな友人が欲しいものだ。
それから、葉山くんの、子供ってそんなに欲しいものですか?っていう質問に対して進さんが「いなくてもいいと思う人はいるだろう。だが失っていいと思う人はいない」と言ったセリフが印象的
この作品を読んだとき、僕の中で、似鳥さんはNO.1に躍り出ました。
似鳥さんを読むのであれば、是非、「さよならの次にくる」までは読んでいただきたいです。
後編に続く。
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